本来支払われるべき残業代の計算方法
残業代の平均
厚生労働省が2020年に行った調査によると、医療・福祉分野の残業代の平均は1万3,385円でした。看護師以外の職業も含まれますが、この数字を見て「本来はもっと支払われるはずだ」と感じる人も多いでしょう。実態と支給額の差が多いということは、サービス残業が発生している可能性があります。2019年7月時点で、看護師1人の月平均超過勤務時間は5.2時間です。これについても、実態とは大きなギャップを感じるかもしれません。
残業時間の計算
もっと多くの残業代が支払われるべきだと思っていても、実際の数字が分からなければ請求できません。そのため、残業代の計算方法を知っておきましょう。残業時間については、「実際の労働時間-法定労働時間」で算出できます。法定労働時間については「1日8時間」か「週40時間」です。看護師は交代制勤務で変形労働時間制を採用しているケースが多いので、1ヵ月の労働時間を出し、そこから「週40時間を超えた分」をカウントしましょう。シフトが週をまたぐ場合は、「2週間で80時間を超えた分」と考えてください。
残業時間を計算する際に迷うのが、勉強会や研修会、前残業、休憩中の呼び出しについてです。これについては、職場が時間外労働と認めているかどうかがカギになります。また、残業代は時間帯によって金額が異なります。単に時間だけで計算するのではなく、深夜残業と休日出勤についても区別しておくことが大切です。
残業代の計算
残業代の計算方法について、具体的な数字を交えて紹介します。まずは、1時間当たりの平均賃金を計算しましょう。「基本給÷法定労働時間」で計算します。基本給が20万円だった場合、「週40時間×4週=160時間」で割ってください。すると、平均時給は1,250円になります。あくまで基本給がベースなので、諸手当や賞与は含まないようにしましょう。
そして、残業した時間帯に応じた一定割合を算出します。通常の残業は「平均時給×1.25」ですが、深夜(22時~5時)では「平均時給×1.5」になります。また、休日出勤の場合は「平均時給×1.35」です。さらに、月60時間以上の残業があった場合は、「平均時給×1.5」になります。以上を踏まえ、通常の時間帯での残業が10時間、深夜帯での残業が8時間、休日出勤が12時間だとします。その場合、月の残業代は5万875円になります。
これが、本来支払われるべき残業代の計算方法です。計算式だけでなく、自分の基本給(時給)や残業時間、残業した時間帯を洗い出すことが大切です。以下に役立つツールを紹介するので、こちらも活用してください。
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